6/21/2011

本日アップするパーソナルクレドは、
手芸家の羽方早桜子さんの物語

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魂ある手仕事を届けるタンポポのわた


から100年以上むかし

澄んだ空気によく映える小さくて優雅なお城に、

美しいお姫さまが暮らしていました。


心の奥底にとても勇敢で公平な魂が宿りながらも、

無邪気で愛らしいその姿に人々は目を奪われて


お姫さまは

ただただ愛され大切に扱われながら暮らしていました。


美しい姫には美しいものが似合うと、

貢ぎ物がひっきりなしに届けられます。


大切に扱われていることに感謝しつつも、

お姫さまは心の中で

とも心を通わせていないような気がしました。


美しい貢ぎ物を眺めて、

その美しさに心をらせつつも

それらの品々はそれぞれにふさわしい持ち主

いるのではないかという気持ちがありました。


時は戦乱の時代

お姫さまのお城にも敵が攻め寄せてきました。


誰もがその安否を案じたはずでしたけれども、

誰にとっても特別すぎたお姫さま、

お城の中にしか身の置き所はありませんでした。


そしてお姫さま自身も、

知らない世界へ飛び出す勇気を出せないまま

囚われの身となり、

その生涯を終えることになったのでした


しなやかに思うがままに生きること

叶わなかった無念さが、

お姫さまの中に残っていたのでしょうか。


天に向かう途中で、

長い長い時間、その魂は宙を漂っていました。

恐れを手放せば」未来はうまくいく。


長い時間が流れ、時が力を与えたのでしょうか、

再び、地上に舞い戻ることに決めたお姫さま

桜の中に舞い降りたのでした。


そうして最初の鶯が春を告げるころ

勇気を奮い蕾をき・・・、

お姫様は、

あたり一面を覆いつくすタンポポなりました





















タンポポのわたは変幻自在です。


春は草花に息吹をふきこむ朝もやに、


夏には涼を届ける涼風に


秋には落ち葉焚きの煙に、


冬には人々を包む温もりに。


特別な存在でありながら、

いつどんな時でも、周囲と一体になる

心地よさは特別のものでした。


生き生きしたわた毛のもとに、

たくさんの贈り物がやってきました。


太陽からは金の針


虹の橋からは七色の


雲からはふわふわの毛糸。


その様子をみて

自分が差しだせる贈り物

一生懸命考えるものもいました。


海はつややかな真珠を造りました。


大地は綿の実を育てました。


最後に残ったのは人間でした


も持ってないように感じていた人間

悩みに悩んだあげく、誇らしげに差し出したもの、

それは豊かな創造力でした。


それらのものが

まぎれもなく自分へのギフトだと感じたわた毛は


深い感謝を捧げ、瞳を閉じて祈りはじめます。


すると・・・どこからか手仕事の神様たちが集まって

仕事を始めたのです。


そこに流れるのは静かで透明な無心の時間・・・、


次々に魂のこもった作品の産声があがります


心が浮き立つ新しくも懐かしい刺繍


天使の赤ちゃんに似合いそうなふわふわの帽子


小人のおうちにぴったりの愛らしい布張りの小箱


お姫さまのしわざでしょうか


仕上がったそばからわた毛は、その品を本当に


必要とするのもとへます


受け取った人たちは、

そこにこめられたメッセージを思い思いに受け取り、


しなやかな勇気に満ち溢れて、

自らの毎日愛おしくそして前向きに過ごすのでした


魂のこもった手仕事を届けるタンポポわた


羽方早桜子さん それがあなたです


2011430日 その手仕事に魂をうばわれて 冨永のむ子


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